現代の住宅のLDKにも、畳のある和室を取り入れているケースはよく見られます。
子どもが小さいうちなどは重宝することも多い和室ですが、ライフスタイルの変化にしたがって持て余したり
和室を利用していて不便や手間を感じ、洋室へのリフォームを検討する人も増えています。
では和室をリフォームするには、どのような工事が必要なのか?
実際に和室を洋室にリフォームする方法とともに、費用や工期の目安をご紹介します。
《1》畳をフローリングの床へ
和室を洋室にするには、畳をフローリングにするところから始まります。
①畳をはがして木製の床材を敷きつめる
畳の厚みは40~50㎜程度あるのに対し、フローリングの厚みは12㎜程度です。
畳をはがしたところにそのままフローリングを張ると隣の部屋や廊下などとの間に段差ができるため下地を組みます。
他の部屋と高さを合わせればリフォームによる違和感も抑えられます。
また畳の下に断熱材が入っていない場合、フローリングを張る前に断熱材を追加する必要があります。
畳をフローリングに替えるための費用は、6~8畳で15~35万円程度となります。
工期は1~2日程度が目安です。
ただしマンションの和室をリフォームする際は、管理規約に則って
防音性能の高いフローリング材を使用しなければならないケースもあります。
その場合、通常のリフォームよりも費用は高くなります。
②畳の上にフローリング風の素材を敷き詰める
より簡単に済ませたい場合は、畳を設置したままの状態で
上からウッドカーペットやクッションフロアなどを敷く方法もあります。
簡単なうえに費用も安く済ませられるので気軽に雰囲気を変えてみたい場合におすすめです。
費用は6~8畳で1万5,000円~4万円程度、DIYで行ったとしても半日程度でできるでしょう。
ただしウッドカーペットやクッションフロアを敷くと畳に湿気がたまったり
他の部屋との間に段差ができたりする可能性があります。
《2》襖や障子を洋風建具へ
床をフローリングにしても襖や障子をそのままにしているとミスマッチな印象になります。
ここでは襖や障子を洋風建具にリフォームする方法をご紹介します。
①引き違い戸にリフォーム
洋風のドアをつける場合、もともとある襖や障子の枠を生かして設置できます。
ドアと敷居を交換するだけなので、それほどコストをかけず短時間で作業が完了します。
襖や障子と同じ要領でドアの開け閉めができるため家具の配置を変更する必要もありません。
②開き戸にリフォーム
襖や障子を撤去した上で開き戸を設置することも可能です。
ただし開き戸にするには、ドアを開けられる余裕がなければなりません。
事前に室内のレイアウトを確認し動線や生活に支障をきたさないか確認しておきましょう。
また開き戸を作るには単に建具を交換するだけでなく壁も新しく作る必要があります。
部屋同士の間にわずかな段差も生じないように高さをそろえる工事も必要です。
そのため引き戸にリフォームする場合よりも費用は高くなります。
洋風の引き違い戸や開き戸にリフォームする場合の費用は7~20万円程度かかります。
選ぶ建具のグレードによってかかる総額は変化しますので注意が必要です。
③洋風壁紙を張る
襖や障子をそのまま残し洋風壁紙を張って活用する方法もあります。
建具を交換する必要がないため他の方法に比べて最も安く済ませられます。
好みの壁紙を購入すればDIYによるリフォームも可能です。
さまざまな壁紙があるので好みや新しい部屋のイメージにあわせて選びましょう。
費用は6,000円~3万円程度、作業にかかる時間は半日程度です。
《3》押入をクローゼット収納へ
和室についている押入は、布団をしまうのに便利な構造になっています。
しかし衣類などを収納するには、あまり使い勝手がよくありません。
そのため畳や建具とともに押し入れをリフォームするケースが多いです。
では実際にどのように押入をクローゼットにリフォームする方法をご紹介します。
①簡単なリフォーム
押入をリフォームする場合、最も簡単なのは布団を置くための中棚を撤去した上で
上部にハンガーパイプを取り付ける方法です。
コートやワンピースなど丈が長い衣類もつるして収納できるようになります。
押入は一般的なクローゼットよりも奥行きがある為、高さを変えてハンガーパイプを2本設置するというのもひとつの方法です。
襖は残すので使わない時はクローゼットの中を隠せます。
このような簡易的なリフォームであれば、かかる費用は3~10万円程度です。
工期は約1日程度でその日のうちにクローゼットとして活用できるようになります。
②通常のリフォーム
簡易的なリフォームでは襖を残しますが、襖を洋風の建具に交換すれば
よりフローリングにマッチするクローゼットになります。
押入からクローゼットへリフォームする場合、中棚を撤去してハンガーパイプを取り付けるだけでなく
建具まで変更するケースが多いです。
建具は引き違い戸でも問題ありませんが、できれば手前に引いて開けられる
折れ戸を選ぶとより使い勝手のいいクローゼットになります。
天袋に別の扉をつけるなら真上に向かって開くタイプを選ぶと低い位置からでも物を取り出しやすくなります。
通常のリフォームをするには、床材の補強や張替えも必要です。
実際にかかる費用は10~25万円程度、工期は3~4日程度となります。
③拡張してウォークインクローゼットへリフォーム
広い収納スペースが欲しいと考えているなら、押し入れを拡張して
ウォークインクローゼットへリフォームすることも可能です。
押入部分だけでなく、部屋の一部もクローゼットとして使用します。
床材の補強や張替えだけでなく壁に断熱材を入れる必要があるため、大掛かりな工事となります。
断熱材を入れないと、クローゼットの内部に結露が生じる恐れもあるので要注意です。
押入をウォークインクローゼットにするためにかかる費用としては25~50万円程度で工期も4~7日程度の工期がかかります。
《4》天井・壁のリフォーム
和室から洋室へリフォームする際に意外と見落とされがちなのが壁や天井です。
床をフローリングにすると和風の壁や天井があわない可能性があります。
特に和室に多いジュラク壁は、洋室にはマッチしません。
次に和室の壁や天井のリフォームについて説明します。
①クロスの張り替え
壁や天井にクロスが張ってある場合、洋風のものに張り替えるだけでフローリングとの相性がよくなります。
業者に依頼すれば、クロスの継ぎ目となる床と壁の間に巾木や廻り縁も設置してもらえます。
特に巾木があると、掃除機を壁にぶつけてしまっても傷がつきにくくなるので安心です。
壁や天井のクロスの張り替えにかかる費用は、6~8畳なら10~15万円程度となります。
クロスの張り替えのみなら、工期は1日で済むでしょう。
またフローリングと一緒にクロスの張替えを依頼する場合、両方をあわせて6~8畳で20~35万円程度がかかります。
②ジュラク壁のリフォーム
ジュラク壁とは、聚楽土や川砂などを混ぜた材料で塗った塗り壁です。
和室の壁として一般的であり防火性や消臭効果に優れています。
ただしジュラク壁は和室ならではのものなので、洋風なフローリングの床にはあまり馴染みません。
また劣化すると砂が落ちたりはがれたりするので和室のリフォームをするなら壁も変更する必要があります。
ジュラク壁のリフォーム方法は様々あります。
ジュラク壁は塗り壁なので、ペンキ、漆喰、珪藻土などによる塗り替えも可能です。
ペンキなら少ない費用で簡単に砂壁を塗り替えられます。
漆喰や珪藻土を選べば、ジュラク壁のような防火性を維持したまま洋風な雰囲気に変えられます。
またジュラク壁の上からクロスを張るのもひとつの手です。
部屋のイメージにあわせてクロスを選べば、簡単に洋風な雰囲気になります。
汚れを防ぐ壁紙や消臭効果がある壁紙もあるので、希望や部屋の用途に応じて選びましょう。
選ぶリフォーム方法にもよりますが、かかる費用は6~8畳で8~16万円程度、工期は3~7日程度です。
③真壁を大壁にリフォーム
和室の壁は、壁から柱が露出している「真壁」が多いです。
一方、洋室は壁で柱を隠す「大壁」となっています。
真壁から大壁にするには、耐火ボードを追加して壁の厚みを調整する必要があります。
リフォームにかかる費用の目安は、約16~25万円程度です。
またマンションの和室は大壁になっている場合が多いため、このリフォームが必要なのは主に戸建て住宅です。
《5》まとめ
和室から洋室へリフォームするといっても、ピンからキリまでさまざまな方法があります。
どこまでリフォームしたいのかによって、必要な作業も大きく異なってきます。
希望するリフォームの内容によって予算や工期にも違いが出るので
あらかじめリフォームのイメージを具体化しておくことが大切です。
例えば和室から洋室にする際に床だけでなく、建具、押し入れ、壁、天井などの
全てをフルリフォームする場合、概算で40~100万円前後です。
原則として、予算は50万円以上を見込んでおくとよいでしょう。
予算と本当に必要としている工事内容を考え、納得のいくリフォームを行えるようにしましょう。
場合によってはDIYで済ませられる可能性もありますが
本格的に大掛かりなリフォームを希望するなら専門の業者へ依頼する必要があります。
和室に対して抱いている悩みとしっかり向き合いどのようなリフォームが必要なのかよく考えてみましょう。